中国進出 成功企業レポート

無印良品に聞く 
中国 人材育成の秘訣

雑貨: 無印良品に聞く人材育成の秘訣
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雑貨: 無印良品に聞く人材育成の秘訣

株式会社良品計画の人材育成の仕組みづくりとは

誰もが知る「無印良品」の中国現地法人の人材育成とは。 同社に研修サービスを提供するコンサルティング会社のA&Cアソシエイツの河野総経理が、人材育成の秘訣を無印良品(上海)商業有限公司の増子課長と太田課長に聞いた。

現場の改善意見でマニュアルを進化させる

毎年30店舗以上の新規出店など、スピード感を持って中国市場で躍進を続けている無印良品。 食事ができる「Café&Meal MUJI」や、書籍を取り扱う「MUJI BOOKS」、お客様がカスタマイズできる「MUJI YOURSELFユアセルフ」など中国での新しい取り組みも好調。 その原動力となっているのが、無印良品の理念を受け継いだ中国人スタッフたちだ。 スピーディーな店舗拡大の中、どのようにスタッフを育成し、高い顧客満足を維持し続けているのか。 同社に研修サービスを提供するコンサルティング会社のA&Cアソシエイツの河野総経理が、人材育成の秘訣を無印良品(上海)商業有限公司の増子課長と太田課長に聞いた。

 

-御社には有名な「MUJIGRAM」があり、高いレベルでマニュアル化されています。中国での「MUJIGRAM」の導入にあたり、工夫されたことを教えて下さい-

 

増子氏 「MUJIGRAM」が中国でも効果的なツールとなるように、現場の声をきちんと取り入れて改善し続けています。

もちろん、簡単に改善意見が出てくる訳ではないので、最初は何でも良いから意見を出してもらうように促します。そして、全てに対してフィードバックをします。意見の中身はいろいろなものがありますが、全てにきちんとフィードバックすることで、スタッフたちが「出した意見は聞いてもらえる、反映してもらえる」と信用してくれます。

出された改善意見の中で、採用されたものには賞を与えます。年間表彰もします。

このように多くの改善意見を反映させることで、現場や「MUJIGRAM」を日々進化させて、中国で機能するような効果的な内容にしています。

人材育成の仕組みをつくる

人材育成にも力を入れておられます。「店長育成」と「スタッフ育成」について教えて下さい-

 

増子氏 スタッフに求められる内容を明確に定義し、その内容を社内外の協力を得てスタッフに浸透させています。

店長や副店長に対しては会議や研修を定期開催することで浸透させます。会議は一同に集め、業績の確認から理念の浸透まで社内で行います。一方、研修の一部はA&Cアソシエイツ社に依頼しています。

 

太田氏 A&Cアソシエイツ社に依頼している研修は、担当部門と念入りに打ち合わせて実施してもらっていますね。研修内容が店舗の実情を反映しており、ケーススタディなども臨場感と納得感が出るため、受講者の理解度も高まっています。

新人向けの研修においても、他の顧客満足度向上研修や店長研修と整合性をとってもらっているため、即戦力化に役立っていると思います。

 

増子氏 また、総経理が各地域を巡回し、直接一般のスタッフに対して方針や理念を説明する機会を設けています。

会議や研修で本部に来る店長や副店長と異なり、本部の考えを直接聞く機会がない一般スタッフ達と、総経理が直接対話をすることは非常に価値があります。

また、「ビジョン研修」を定期開催しており、ブロック店長が現場に近い立場から無印良品が「どういったブランドなのか」をアルバイトスタッフに伝える機会も設けています。

 

太田氏 よい店舗づくりは「良い情報、良い商品、良い環境」が必要です。これら3つが合わさるように、会議や研修、制度づくりなど本部からのサポートや機会を設ける取り組みは丁寧に行なっています。

こういった仕掛けがぴたっとはまって、中国でスピード感を持って展開できているようにも思いますね。

人事制度も改善し続ける

-各種制度の中でも、人事制度が特に効果的に機能しているようです。中国人のキャリアに対する考え方にどのように対応していますか-

 

増子氏 人事制度も改善し続けています。

スタッフの能力発揮を高めるために、中国では2年前から専門販売員という職種を設けました。お客様のニーズをしっかりとお聞きし、ライフスタイルにあった家具やインテリアを提案する「スタイリングアドバイザー」と「インテリアアドバイザー」という職種です。

お客様には非常によろこんでいただいている仕事なのですが、それら職種からのキャリアアップのためのステップがなかったためスタッフ達からは「専門販売員だったらキャリアが止まってしまう。だったら店長、副店長でいいや」と思われてしまい、希望者は少なめでした。

そこで専門販売員からさらに他の職種へもキャリアアップし易い制度にし、給与や役職などを可視化したところ、今年は希望者が5倍に増えました。

キャリアの心配さえ無くなれば、お客様にとって本当に良い提案をする職種でいたいというスタッフがたくさんいてくれることを再認識できました。

 

太田氏 専門販売員の制度については、中国人スタッフたちと一緒に考えながら取り組みました。そのおかげで中国人スタッフたちにとって本当に価値ある制度になったのだと思います。実際、専門販売員の離職率は極めて低く保てています。

また、今後、専門販売員たちが各地に配属されれば、実際の仕事ぶりをみて憧れるスタッフが増え、専門販売員を目指してくれる好循環になると思います。 役職ではなく専門的な分野でキャリアアップしていけるのは中国のサービス業では珍しいようなので、その意味では働く人たちにとって新しい道が創れたのかと思います。

人材育成が大切

「中国では時間とお金をかけて人材育成しても、すぐに転職してしまう」と言われる日系企業をよく聞きます。そのような企業にアドバイスをお願いします-

 

増子氏 そもそも人材育成は大切です。

日本でも中国でも同じで、会社とスタッフも「人と人」の関係。お互いが主張し合うのではなく、相手のことを理解して自分のことも理解してもらって、一緒に考えて取り組むことが必要だと思っています。

中国人スタッフに考えてもらうようになってもらうため、いきなり答えや指示を出さずに、スタッフ本人に考えてもらうようにしています。考えてもらうことで、一つのことを進める時に時間がかかってしまうこともありますが、そのように接したほうが成長スピードも早く、長期的には効率的でもあるように感じています。 実際、進出時の中国人アルバイトスタッフの中には、ずっと一緒に会社のことを考えながら仕事に取り組んでくれ、今では部長職となり、活躍してくれている人もいます。

 

太田氏 育成したスタッフが転職するのも、無印良品の理念を広げることの一つとして考えることもできます。

きちんと育成できていれば転職先でも活躍してくれるでしょうし、その姿を見て無印良品で働きたいという人も増えるかもしれない。 育成をして成長してくれた研修を受けたスタッフ達は引き抜かれることもあるが、長い目で見て我慢することも大事だと思っています。

お近くのお店にお越しください

-世界中に無印良品のファンがたくさんいます。最後に中国にいるファンの方々に向けてメッセージをお願い致します-

 

増子氏 今年度末までに中国国内で200店舗となる予定です。 今中国では45都市に出店していますが、今後は未出店だった都市にも積極的に出店していきます。

一部商品の価格もお買い求めいただけやすいように見直しをしています。駐在員の方にとっても身近なお店になるように努力をしていますので、是非お店にお越しください。

 

太田氏 中国では、カフェの併設などを始めとして、お店ごとにお客様が楽しんでいただける工夫をしています。

また、専門販売員によるアドバイスは、駐在員の方々のご要望に応じて、駐在期間の暮らしを快適にしていただけるようになっています。旗艦店のような大型店舗ももちろんですが、身近な工夫をしてお待ちしているお近くの店舗にも是非お立ち寄り頂き、無印良品の良さを体験してください。

 

河野 今回は貴重なお話、ありがとうございました。

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