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関するレポート

製造:中国人社員たちが高品質を実現する東拓(上海)電材有限公司

【ものづくりは人づくり】

 北越紀州製紙の上海現地法人である東拓(上海)電材有限公司は、精密電子部品の製造過程で使用するキャリアテープのメーカーである。

 日系大手精密機械メーカーをはじめ、中国や韓国系の大手スマートフォンメーカーを顧客企業として、業績を伸ばし続けている。

 各国大手の顧客企業の高い品質要求に応え、業績を伸ばし続けている秘訣を総経理の池田和代氏に伺った(聞き手は弊社総経理の河野)。

【まずは4S】

-2008年に着任し、まず取り組んだことは何ですか-

 

 まずやるべきは、「日系企業らしくある」ことと思いました。具体的には、「お客様」「品質」「社員」を大切にすることです。

 そこでまず、お客様企業に当社への評価を伺いに訪問しました。すると、残念ながら品質に対する満足度が低いことが判りました。

 正直、クレームも多かったのです。

 当社の製品は、スマートフォンをはじめ、航空宇宙や医療機器、自動車制御など人の生命に関わる製品の製造過程にも使用いただいています。つまりそれだけ、高精度、高品質の製品を提供しなければならないということです。

 当社製品は、その品質レベルにありませんでした。そのため、まず高品質の実現に注力しました。

 最初は生産環境の改善です。

 社員たちに「きれいな環境できれいな製品を作ってもらいたい」と伝え、一緒に見直しを図りました。床には全てタイルを貼り、空調や排気システムも見直し、工程も変更し、温度や湿度の管理も徹底するようにしました。

 ゴミひとつ落ちていれば、ひと目で分かる環境になったので、今でも非常にきれいな状況で維持できています。これでまず4S(整理、整頓、清掃、清潔)は実現しました。

【軍OBに基本動作の訓練を依頼】

-人材育成はどのように行いましたか-

 

 工場の警備をしてくれていた会社が、軍OBの教官による訓練を行っているとのことだったので、その教官に基本動作の訓練を依頼しました。

 内容は、服装や挨拶から始まり、歩き方などです。これは非常に効果があり、工場内で社員の動きが機敏になるなど、挨拶や服装以外にも良い効果がありました。

 そのため今でも1回/月、ローテーションで全社員が受講できるように実施しています。既に定着しており、社員の一体感醸成にも役立っていると思います。

 

これで、残りの一つのS、躾が実現できました。

【改善は即決し実行。効果なければ明日また改善する】

-QC改善活動ではなく日々の取り組みで改善を進めていますね-

 

 3つの取組みで日々の改善や定着を進めています。

 

 一つ目は「毎朝、職場長の朝礼による問題点の議論」、二つ目は「1回/週、幹部社員6名による全職場巡回チェックとその場決裁の改善指示」、三つ目は「1回/週、総経理である私自身によるチェック」です。

 各現場からの問題提起や改善アイデアは、一つ目の取り組みで対応します。小さなことでも拾い上げ、議論し、その日に決めて対策を実行してもらいます。

 ただそれでは定着しきれないことなどもあるので、二つ目のチェックを行います。このチェックでは、現場で問題点を見つけたら、その場で改善指示をして実行してもらいます。費用面で決裁が必要ならばその場で判断する。

 すぐに決めて当日中に実行すれば、もしそれがベストな解決方法では無かったとしても、翌日に成否がわかります。そうすれば、翌日さらに改善して実行すればいいことです。

 そして三つ目の総経理チェックです。正直、時間が確保できたら行ってます。1回/週だけでなく、2回以上になることもあります。

 私もゴミや埃のような細かいことから、レイアウト変更になるようなことまで指摘し、必要ならば決裁します。

 私がチェックすることが判っているので、二つ目の幹部社員チェックでも厳しくなるような効果があるかもしれません。

【社員がやる気になる環境を作る】

-日々の改善を続けることで高品質を実現しました-

 

 クレーム一つ一つを掘り下げて改善し、さらにお客様の要望も伺い、改善を続けました。

 おかげで、同業他社には無いような設備導入やレイアウトにより、不良は激減、クレームもほとんど無くなりました。

 全行程のカメラ撮影でトレーサビリティをとったり、原材料の他に金型など受入全数検査をしている工場はあるかもしれませんが、金型メンテナンス室をガラス張りにして作業内容を他社員から見えるようにして金型メンテナンス担当者の動機づけをしている工場はあまりないと思います。

 ちなみに、金型メンテナンス担当者が動機づけされて、仕事の習熟度が上ると不良が激減しました。これは効果的なのでお勧めですよ。

【「ものづくり」は「人づくり」】

-就業規則の見直しの際、教育や福利厚生で社員に手厚い企業という印象を持ちました-

 

 私自身のポリシーは、「人づくり」です。

 我々は中国で、人と場所を借りて「ものづくり」をさせてもらっています。その恩返しはしなければならない。恩返しは、「人づくり」だと思います。

 これまでに当社に関わってくれた中国人社員は400名ぐらい。彼らに、品質管理の知識や経験、働く喜びなどを身に着けてもらったことが恩返し。この気持で、これからも続けていきたいと思っています。

 

 そのためには、仲間となる社員の選考は大事です。当社は厳しいと思いますよ。

 最初の採用は工場長と管理部長に任せており、彼らが合格と判断すれば、入社して試用期間の勤務となります。

 試用期間は二ヶ月間。一週間程度、各職場での勤務を経験してもらいます。その後、正式採用のための試験です。

 まず、管理部門の社員との面接によって、素直な人かどうか、仲間になれるかどうかを判断します。

 次に、筆記試験です。試用期間中に経験した各職場で学んだ内容を問う試験で、全て記述式です。「東拓の品質に対する考え方を述べよ」のような設問で、採点は各職場長が行います。

 複数の職場長が関与することで、特定の上司の好みで合否判定されることが防げます。また各職場でも一生懸命教えるようになってると思います。

 筆記試験は100点中、86点以上で合格です。合格率は2/3ぐらいです。

 厳しい正式採用試験を合格した社員に対しては、先輩社員たちも仲間として認めやすいようで、短期間で人間関係も良好になり、一体感を維持しているようですね。

【きめ細やかに】

-日系企業へのアドバイスをお願いします-

 

 中国で日系企業が生き残るためには、きめ細かさが必要だと思います。

 きめ細やかさは、赴任時に覚えていても、中国に慣れていくうちに忘れてしまう責任者の方もいらっしゃるように思います。

 ほどほどの品質のものを大量生産するのは、中国企業の得意分野です。そこで勝負しては勝てません。日本企業が生き残るには、きめ細やかさを発揮するのです。

 お客様への対応や、製品品質はもちろんのこと、社員に対してもきめ細やかに接することが必要だと思います。

 社員にきめ細やかに接すると、社員がきめ細やかに行動することを要求できます。目配り、気配り、身配りなど、日々の動きです。

 社内で丁寧に対応できるようになれば、お客様にも自然と丁寧に対応できるようになります。

 そのようなこだわりが大事だと思います。

 

 

-ご協力、ありがとうございました。-

 

東拓(上海)電材有限公司の社員達は、業務に対しては高い水準を厳しく要求されます。工場内での作業手順はもちろんのこと、応接室でのお茶の出し方や、工場見学の際の帽子とタオルの手渡しまでと徹底されています。

一方、福利厚生はかなり手厚く、中国の法定水準を上回る内容が設定されています。中でも社員からの好評なのは、医療保険(約3,000元/年)の全額会社負担です。これは社員本人の治療費負担が1割で済むものです。社員の毎月の手取りが増えるわけではないのですが、安心して働くことができるということに価値を感じる社員が多いようです。

 

取材協力:東拓(上海)電材有限公司 上海市外高橋保税区希雅路330号8棟

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