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関するレポート

運送:自社倉庫が隣接倉庫からの延焼で全焼した時にやるべきこと

 丸協運輸の顧客満足や人材育成への独特の取り組みは、上海では有名である。

 

 そのマネジメント手法を参考にする日系企業も多く、総経理や幹部たちは「中国人社員が辞めない運送会社」として講演会などにも頻繁に招かれている。

 顧客企業からの評価も高いため中国で順調に発展を遂げてきたが、2016年3月に倉庫の一つが火事に合う。

 出火元は、隣接した他社倉庫の敷地内に違法に作られた小屋。

 お客様から預かった荷物と倉庫建物が全焼してしまう事態となる。

 

 この危機を社員と一体になって切り抜けてきた神並総経理に、弊社総経理河野がその対応を伺った。

-張家港倉庫の火事は、大変な損害だったと伺っています-

 

 被害額は8千万元ぐらいと想定しています。
 お客様からお預かりしていた荷物、建物の費用、人件費、その他の合計です。各種保険などで対応できるよう手配を進めています。

【まず現場に】

-火事の報告を受け、最初にしたことを教えて下さい-

 


 まずは現場に行きました。
 社員や関係者に怪我などの人的被害が無かったことは確認できました。不幸中の幸いです。

 そしてできるだけ現場を写真や動画で記録しました。
 目の前でお客様の大切な荷物が燃えているのは辛いのですが、ただ見ていても仕方ありません。冷静になってできることを1つずつやらなければと思いました。
 スマホのカメラで十分です。そのままWechatなどで他事務所の社員達ともリアルタイムに情報共有しました。
 社員達にはショッキングな画像ではありますが、状況を正確に伝えることができたため、現場に来れない社員たちをむしろ安心させることができたと思います。断片的な情報で過度に不安させるよりずっと良いですからね。
 視覚で情報共有できることの価値を改めて感じました。
 これら記録は、事後処理時に不当な判断をされないようにするための証拠としても役立っています。

【対策本部を設置】

-鎮火後の対応は-

 

 私が本部長として的確な支持を火事現場へ出せるようにするため、急いで近隣の空き部屋を探して対策本部を設置しました。翌日には仮本部を開設し、三日後には各種通信機器も搬入して本格稼働できるようになりました。

 火事現場で燃え残ったものを回収しなければならないのですが、消防局からは出火原因特定を理由に1ヶ月間現場保全を要求されます。つまり、1ヶ月間何も回収できないということです。この現場保全期間に、残ったものが盗まれてしまうこともあると聞いたので、対策本部から交代で見張りも派遣しました。

 火事現場は灯りも無いので、暗くなると何も作業ができなくなります。

 毎日、日没後に本部に集まり、一日を振り返って出来たこと、まだやらなければならないことをみんなで整理しました。考え方を社員達と共有すると、みんな自ら考え、関係各所に連絡したり、必要な資料をまとめたりしてくれるようになりました。考え方が共有できるようになってきたので、1000元以内の購買は各自で決裁できるようにしました。記録だけ私が確認してきましたが、全て適切な購買だったと思います。これは様々な場面での迅速な対応につながりました。

 また、毎日、全員で夕食をとるようにしました。細かいことは気にせず、できるだけリラックスするようにしました。

 ずっと一緒にいると、やはりお互いの考えが伝わるものですね。倉庫責任者が責任を感じて眠れなくなっていたり、作業員たちが将来を不安に感じたりしていることを肌で感じ、一人ひとり対応して不安を払拭することができました。
 一段落ついた頃には、皆が成長し、強い一体感が醸成されたと思います。

【可視化する】

-プロジェクトとして管理されたそうですね-

 

 やらなければならないことを「プロジェクト一覧」としてガントチャートに整理しプロジェクトごとのチームを作りました。

 プロジェクトチームはグループチャットでタイムリーに情報共有し、タスクに取り組み、完了します。

 このチャットのログは処理をスピーディーに進めるという点では、一般的な会議議事録よりはるかに価値があると感じましたね。

 プロジェクトの中には、抜けていたり徒労に終わったプロジェクトもありました。

 ただ一覧にしておいたことにより、日々更新することで、良い方向に向かっているという雰囲気は作れていました。

 また、不安事だけを集めた「心配事一覧」も作りました。お客様の対応や消防局の判断など、払拭しきれない心配事だけを一覧に整理し、できることをやるようにしました。あえて心配なことだけを整理し、進捗を管理することでみんなもすっきりしましたと思います。

 心配事が1つずつ減っていくのも達成感になりますしね。

 この可視化の取り組みは非常に上手く稼働したので、全社プロジェクトへと拡大し、全体の連絡網、営業、業務の連絡網他へつなげる予定です。非常に良いシステムができると期待しています。

【当局を過信せず自分たちで】

-出火元企業や消防局との対応は-

 

 消防局からの出火原因報告書には、「気温が高かったことから、木造の建材物が自然発火した可能性もある」となっていました。
 3月の張家港です。木造建材物が自然発火すると言われても納得できる訳がありません。証拠は無いのですが、出火元企業が消防局に手を回した可能性もあります。
 あきらめようかという意見もあったのですが、火事経験をした中国企業の経営者や関係者の助言により、異議申し立てをし、再鑑定してもらうことにしました。
 再鑑定は、張家港の当局に許可を得た上で、張家港以外の消防局にやってもらっています。この再鑑定結果を使って賠償請求する予定です。
 他、保税区でもあったため税金処理などへの対応も大変でした。ただ、社員たちが誠実に対応を重ねてくれたようで、各役所窓口の担当者も徐々に協力的になってくれました。
 地元の消防局から認定が出ても、出火原因に疑問が有る場合は上部機関へ異議申し立てを行い公正さを訴える重要性を実感しました。

【誠実でありつづける】

-誠実さや真面目さが御社社員の特長です。これらが活きたことはありますか-

 

 燃えてしまった荷物の大半はレアメタルでした。

 これを預けていただいていた中国企業のお客様に、私が直接訪問し、全て正直にお伝えしました。

 レアメタルは高額なので、全損となると巨額の賠償となります。補償する覚悟をした上でお伺いしたのですが、先方の中国人総経理から「品質上問題なければ引き取っても良い」と言っていただきました。

 お預かりしていたレアメタルは性質上、火事による燃焼温度では成分に大きな影響は出ないからということだったのですが、燃えてしまい、最初の状態を維持できていないのは事実。全額賠償請求を受けても仕方ないと思っていただけに、本当に有り難く思っています。

 回収したレアメタルは、燃焼状況ごとに分類し重量測定しています。これも社員が資料に上手くまとめてくれているので、お客様へきちんとご報告できています。

 

 このレアメタルの回収にあたっては、燃え後で1つずつ広い、手作業で分別しました。

 一生懸命やっているとお客様、同業者や周辺の作業員の方々が手伝ってくれました。

 このことにも本当に感謝しています。 現場の社員たち一人ひとりが誠実に、真面目に取り組んでくれていたからだと思います。

 

 また、多くのお客様企業からも応援をしていただいています。

 火事対応に追われて営業活動の時間が十分には確保できていなかったのですが、お客様たち皆様は本当に寛容に理解して頂き、仕事も通常通り依頼いただけています。

 本当に感謝しています。 皆様のご厚意に報いることができるよう、今まで以上に頑張っていきますので引続き応援してください。

【この経験が他企業様の役に立てば】

-日本企業へのアドバイスをお願いします-

 

 今回も、私たちは実に多くの方々に助けていただきました。心から感謝しています。

 その恩返しというわけではないのですが、もし弊社と同じような危機に遭遇した企業様がいらっしゃれば、今回の経験で蓄積した教訓を無償で共有させていただきます。

 必要な方は、弊社代表電話までご連絡ください。

  連絡先:上海丸協運輸有限公司 021-5206-8085

 

 

丸協運輸では、これまで権限委譲や各種教育で人材育成に取り組んで来られました。その取り組みが正しかったことが今回の件で確認されたと思います。

火事に関する処理が無事に終わり、これまで以上の発展を遂げられることを祈念しています。

これからもよろしくお願いします。

取材協力:上海丸協運輸有限公司 http://www.marukyo-sh.com  上海市長寧区天山路641号

  ※上記写真は、神並総経理と張家港倉庫で火事対応された皆様です

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