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中国人への権限移譲で再建

クリエイティブエージェンシー:中国人への権限移譲で再建
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クリエイティブエージェンシー:中国人への権限移譲で再建

中国人への権限移譲で再建

 コロナ禍後、中国法人の再建のために赴任される日本人も増えてきた。

 再建というと、強いリーダーシップで旧体制を改革、牽引するイメージがあるが、権限移譲で実現することも可能なのではないか。

 実際、赴任直後の慣れない日本人が強引に組織を変えるのではなく、権限移譲された中国人幹部が組織を変えることで成功している企業もある。

 上海メタフェイズ(上海銘塔飛信息技術有限公司)は、WEB制作とプロモーションという属人的要素が多い業界において、権限移譲された中国人の活躍により、製造業からレジャー施設まで多様な分野で成果を挙げている。

 再建のために赴任し、中国人への権限移譲によって再建を成し遂げるまでのポイントを総経理の塚田貴之氏にお話を伺った。

(聞き手は、上海埃和希企业管理咨询有限公司の河野)

【ダメなら撤退】

-赴任直後の様子を教えて下さい-

 

 前総経理の退職が急だったこともあり「どうせあなたもすぐ辞めるんでしょ」という雰囲気でした。

 

 前総経理の退職から私が赴任するまでの三ヶ月間、日本から中国人幹部にメールで指示をしていました。

 私なりに精一杯やってはいたものの、具体的業務内容や現地の雰囲気もわからないままだったので、今思えば的外れだったこともあったのかもしれません。

 メールで指示を受けた中国人幹部は一生懸命やってくれたようなんですが、中国人部下から反発されたり無視されたりで、大変だったようです。

 日本本社、中国人幹部、中国人社員、それぞれに不満や不信が蓄積しつつも、日々やらなければならない仕事に追われる中への赴任でした。

-社員との信頼関係はどのように構築しましたか-

 誠実に仕事をする以外には思いつきませんでした。

 クライアントでトラブルがあれば自分が行き、お詫びをし、お話を伺う。

 じっくりとお話を伺うと、トラブルの原因が仕事の内容そのものもではなく当社担当者とクライアント担当者との認識違いにあることが判りました。

 私達の業界では通じる専門用語やシステムについて、クライアントに伝えきれてなかったのです。

 そこで判っていただけるまで、説明しました。特に手書きの図は相手が日本人でも中国人でも伝わりやすいようで、多頻度で使っていたと思います。

 当時の社員の中には、仕事ぶりは良いものの諸事情で辞めてももらわなければならない人もいました。

 辞めさせるのは心情的にやりきれないこともあり、仕事を発注することを約束して外注先として独立してもらいました。

 実際に発注することもできたので、彼らとは今でも良い関係でいます。

【「麦わらの一味」を集めろ】

 国籍を問わず、信頼できる人に任せられることは任せてみようと思ってます。

 再建を加速させたいと思っていた頃、以前から面識の会った日系広告代理店出身の信頼できる中国人が入社してくれました。

 そこで彼に「一緒働きたいと思う人たちを集めろ。頼れる仲間を集めろ。お前がルフィになって麦わらの一味を集めるんだ。※」と指示し、財務以外の採用と面接を任せました。性格も能力も自分の好みで良いと。

 最終面接は私が出ましたが、ほとんど彼の希望どおりに採用しました。結果、能力も性格も良い中国人ばかりで、私を含めてとても仲が良いです。

※ルフィは中国でも大人気のアニメ「ワンピース」の主人公。「麦わらの一味」と海賊王になる冒険を続ける。 

 ルフィというアニメのキャラクターを引用して指示したのは、伝わりやすく、かつ、楽しみながらやってくれるような気がしたからです。

 実際、「部下の採用を進めろ」というより良かったのではないかと思います。

 希望通りにしたことで、彼は自分の会社と思ってくれてます。マネージャーでありながら、「従業員側」ではなく「経営側」の感覚。そのため、営業活動やマネジメントはもちろん、経費の使い方も会社本位で考えてくれてます。

 彼は前職よりも給料ダウンで入社してくれたので、会社の利益が出るようになった時に昇給を打診しました。

 すると「自分は昇給無しで良いので、増員して欲しい。これからの我社に必要だから。」と言われました。

 感動しました。自分本意ではない彼の考えに。

 そこで希望通り増員しました。そして、彼の昇給もしました。財務的に余裕があったわけでは有りませんが、そうするべきだと思いました。

 

 すると彼も嬉しかったらしく、焼き肉に誘ってくれ、おごってくれました。

 「総経理、なんでも好きなものを頼んでください。好きなだけ飲んでください」と。私の好きな角瓶を頼んでハイボールを飲ませてくれました。

 上海に来て、それまではずっと一人で奮闘してきたのですが、この夜ようやく仲間ができたように思えました。

【一人ひとりと向き合う】

-中国人社員との接し方で気をつけていることは-

 

 「一人ひとりと向き合って、自分なりに相手の性格を判断して、付き合い方を決める」ことでしょうか。

 中国人とか日本人とか、役職の有無とかで信じたり疑ったりするのではなく、人として向き合って話をし、一人ずつ決めています。

 多少荒っぽい口調の中国人でも仕事で信用できると思えば任せますし、立派な企業の日本人でも信用できないと思えば仕事上は距離をおきます。

 日本にいる時から、立場ではなく誰とでも人としてつきあうようにしてきました。その付き合い方が中国でもうまくいっているようにも思いますね。

 

-クリエイティブエージェンシーと言われるWEB制作やプロモーションなどの分野では、アウトソーシング先のマネジメントが重要と聞きます-

 

 中国系の制作会社のレベルが高くなっているので、積極的に探してトライアル発注し、良ければ継続発注するようにしています。

 規模が小さくてもクオリティーが高く、トラブル時に緊急対応で納期にきっちり間に合わせてくれる中国系の会社が何社もあります。彼らと一緒に仕事するのは、学ぶこともあるので楽しみでもありますね。

 一方、中堅規模の会社であってもダメなところはダメです。過去の実績一覧を持ってきたりしますが、クライアント側に確認すると嘘であることも珍しくないです。

 企業規模などではなく人を見て、実績で判断することが大事なんだと思います。

【クライアントに応じた対応を】

-クライアントは日系、中国系共に多いですね-

  それぞれのクライアントごとに応じた対応を心がけています。

 日系だと大手でもコスト管理はシビアです。そこで、クオリティを下げずにコストダウンできるアイデアを考えます。

 日系アパレルのプロモーションでは、プロのモデルではなく店舗スタッフに登場してもらうことで、親近感湧く良いプロモーションができました。非常に好評です。

 日本のアパレルでは店舗スタッフがモデルになって売りたい服を撮影し、登録して紹介するアプリが流行っているそうですが、その先駆けになったんじゃないかとも思います。

 中国系のクライアントでは、アイデアやデザインだけ契約前に提示させられ、契約にならないことがよくあります。そのアイデアやデザインを中国系の広告代理店に持っていってやらせるからです。

 以前から多いようですが、未だにあります。

 そこで弊社では、提案の要望受けたら覚書の締結だけはするようにしています。「他社は覚書無しでデザイン提出するぞ」と言われれても譲りません。

 当初は仕事無くなるんじゃないかと心配していましたが、杞憂でした。

 事前の覚書について合意得られるクライアントへの提案に集中できるので、むしろ良かったと思えるぐらいです。

【スピード重視で】

-日本企業へのアドバイスをお願いします-

 

 中国ではスピードが大事です。

 日本企業はどうしても完璧な計画を真面目に作り遵守するのですが、それがスピードの妨げになることもあります。

 日本企業としての真面目さも残しつつ、スピードにも対応した方が良いと思います。

 目標像とある程度の計画ができたら、とりあえずテストマーケティングして、良い結果が出た選択肢を選んで実行する。

 実行してみてダメなことがあれば、都度解決すれば良い。

 今日の中国では、綿密な計画を立てても、どうせそのとおりになりません。原因はクライアント意向だったり、コロナ禍のような環境要因だったり。予想できないこと、予防できないこともたくさんあります。

 目標像やゴールさえ関係者で合意が得られているのであれば、スピーディーに動くことが必要です。

 そうしないと、中国ビジネスでは取り残されてしまいます。

 

 もちろん、日系企業としての強みは持ち続けて欲しいと思います。

 ここ数年で急成長した中国系大手企業では、社員教育やチームビルディング、福利厚生など日系企業が持っていた良さを取り入れているところがあります。

 これまで攻撃力強化で急成長したので、今からは守備力強化ということかもしれませんね。

-企業のマーケティングやプロモーションの分野ではそもそもスピード重視ですね-

 

 変化も入れ替わりも非常に早いと感じます。

 日本でもInstagramやTwitterからTikTokなど多様に進化していますが、中国ではもっと早いです。

 半年前に成果得られていた手法が、今でも最適とは限りません。

 数年前に会社のHPを作成したままの企業様や、中国のSNS(微信、微博など)を活用した販売促進が必要と感じている企業様がいれば、状況や予算に応じて、できるだけの提案をさせていただきます。

  お問い合わせ先(日本語、中国語可) info@metaphase.cn

 

-貴重なお話、ありがとうございました-

【クライアント様から:アートやデザインは社員の刺激に】

近年、アートやデザインなどに触れることで、思考や感性の飛躍を求めるビジネスマンは増えてきている。

JINSを展開する睛姿商貿(上海)有限公司の宇部総経理も、社員の感性を高めるためにメタフェイズに社内外の取り組みを依頼し、次のように語る。

 

「JINSのスタッフには、もっとアートやデザインに対して興味を持ってもらいたいと思ってます。

そこで、強いアーティストの遺伝子を持ってる塚田さんと、それをカタチにする優秀な上海メタフェイズの皆さんに仕事を依頼して、さまざまな刺激をもらっています。これからも人の心を揺さぶる成果物を期待してます。」

【仲間だからこそ発揮される力がある】

 成功する組織のリーダーシップ研究をまとめたビジネス書「謙虚なリーダーシップ」※では、リーダーシップを「新たな、よりよいことを成し遂げようとするグループ内で共有されるエネルギー」としています。

 リーダーシップは、リーダーが部下を牽引するために発揮されるものではなく、グループメンバー全員が何かを成し遂げるために発揮するするものだということでです。

 メタフェイズは、「応募者」ではなく「麦わらの一味」として「仲間」を集めた組織。

 だからこそ一人ひとりが責任感を持ち、お互いに知恵を出し合い、新たなことをに取り組み、成果を出しているのかもしれません。

 

 塚田氏の組織の作り方や権限移譲の仕方が、中国人との信頼関係構築に悩む日本人の一助になれば幸いです。

 

※「謙虚なリーダーシップ――1人のリーダーに依存しない組織をつくる」エドガー・H・シャイン (著), ピーター・A・シャイン (著), 野津智子 (翻訳)

 

取材協力:上海メタフェイズ(上海銘塔飛信息技術有限公司) 

http://www.metaphase.cn/

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